2009年8月16日日曜日

黄金時代(1930) L'AGE D'OR

「アンダルシアの犬」と同じく、ブニュエルが画家ダリと組んで脚本を書き、演出した前衛映画。パトロン、ド・ノアーコ侯の援助一万フランから自由に作ら れた、シュールレアリズムの悪夢。しかも音つき。しかし、「アンダルシア…」と違って、一応の筋のようなものはあり、彼の後期作品により近い。

のっけか ら、サソリがネズミを襲う映像で挑発し、何やら学術的解説が被って、ブニュエル一流のまやかしのムードふんぷん。廃人のごとき匪賊たちの納屋での語らいと 砂漠への自殺的逃亡の合間に海辺の岩場でミサをあげる大司教たちが映り、そこへ人々が船で上陸すると、骸骨が転がって驚かす。人々の中の女に飛びつく狂 人。彼は連行され、愛玩犬を蹴とばし、甲虫を踏み潰す、そしてヴァイオリンでドリブル。女は侯爵の娘で彼とは恋仲で、化粧鏡に沸く雲をみる。その家では パーティが行われ、居間に牛が、客間に馬車が…。トイレに腰かける女は男を幻視する、マグマの映像と共に水洗を流す音。女は涙し、たなびくトイレット・ ペーパーは海草である(書いてると気が狂いそうだ!)。

特にエピローグは以上の文脈から更に逸脱し、ワケわからんちんなのだが、暗喩とか小むづかしいこと は考えずに、みだらにそのイメージに淫すれば、得るものも多いだろう。狂愛の挿話を彩るのはもちろん(?)、ワーグナー作曲『トリスタンとイゾルデ』だ。

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