2009年8月16日日曜日

アンダルシアの犬(1928) UN CHIEN ANDALOU

今みても感嘆する他にないシュールレアリズムの映像詩。L・ブニュエルの凄い所はこのイマジネイティヴな実験精神を失わず、メキシコ時代の通俗作品、後期 の“アンチ”カトリシズムの不条理劇と、果敢な映画的創造を貫いたことだ。ダリが共同脚本を手がけた本作は全く論理的脈略はなく、あまりにも有名な、眼球 を剃刀で真二つにされる女、路上に切り落とされた手首をみつめる女装の男、痙攣する掌を這い回る蟻の群れなど、夢魔的イメージが全篇を支配している。そこ に何を読みとるかは観る者の自由。ただ、やがて内戦状態に突入していく20年代の終わりのスペインで作られた点は何かを教唆するだろう。

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