2009年6月17日水曜日

公正報酬率規制とアバーチ・ジョンソン効果

前提
費用逓減産業の場合、自然独占が発生すると考えられるため、独占を容認する理論的根拠がある
 ↓とはいえ
死加重を小さくするために価格を低く規制することが必要
 ↓
平均費用価格規制(死加重を最小化)
 ↓しかし
現実には情報上の制約によって、政府はその産業の需要曲線も、企業の平均費用曲線も正確に知ることはできない
 ↓では
実行可能な価格規制は?

公正報酬率規制
総収入=営業費用+減価償却費+公正報酬率×事業資産

公正報酬率規制は、事業資産が最適な水準であり、営業費用が完全に効率的な事業活動のもとで発生した費用水準であり、公正報酬率が資本の機会費用に等しい水準であれば、平均費用価格規制と同じ効果を持つ価格規制である。しかし、さまざまな理由により、現実には平均費用価格規制よりも高い価格水準となってしまうことが明らかになっている。

アバーチ・ジョンソン効果
公正報酬率規制下の被規制企業が、必要以上に多くの事業資産を保有することによって利益を増やそうとする現象
 ↓
アバーチ・ジョンソン効果が働く場合、被規制企業は最適な水準以上に事業資産を保有→総括原価が引き上げられる→価格は割高になる
 ↓しかし
電気、ガス、水道、電話、鉄道等のサービスは他の産業のインフラとしての機能を持っているので、早期の普及が他産業の育成・発展に対して貢献する可能性が大きい
 ↓また
独占権を付与した地域内においてすべての利用希望者にサービスの供給を義務付けるユニバーサル・サービス規制を課すことによって、経済全体のインフラの整備し、経済発展の基盤を作る効果もある
 ↓
WWⅡ後の日本では、ユニバーサル・サービス規制とともに公正報酬率が高めに設定されていたことによって、電気、ガス等のサービスの普及が促進され、経済の復興・成長に貢献したとかんがえることができる

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